2013-09-07

12:01

http://1000ya.isis.ne.jp/1477.html

 われわれの脳は当初から文字を読む回路をもってはいなかった。言葉を喋り、図標アイコンをつくり、文字の並びを見るようになるにしたがって、脳のほうも進化して、気が付いたら本を読むようになっていた。そう、とらえたほうがいい。

 こんなことができるようになったのは、人間の脳が多目的なしくみを学ぶにふさわしいオープンアーキテクチャだったからである。われわれにはもともと、目や耳や指先や足の裏が何かを感知して、「注意のカーソル」がなんらかの動きをもつと、次に待っている情報や知識をせっかちに獲得したくなるというニューラル・ネットワーク上の認知的なはたらきが備わっている。そういう刺激を受けながら人間の脳は進化した。

 すなわち脳は、感覚刺激の多様性をたくみに使って自分を複雑に成長させたのである。それなら脳は、文字の並びを見たときには何を惹起しているのか。問題はそこから始まる。