つまり、大量の選択肢があると、時間さえあればその中から答えを見つけることができるんじゃないかと考えてしまう。それはあり得ない。答えは自分の中にある。

そう、まさに。なぜなら、制限することで可能性が飛躍的に伸びるからね。スタジオでの時間を無駄にする新しい方法は毎年、いや実際は毎週ごとに大量に生み出されている。つまり、大量の選択肢があると、時間さえあればその中から答えを見つけることができるんじゃないかと考えてしまう。でも、私の経験上それはあり得ない。答えはそれが何であれ自分の中にある。例えば、自分がすでにアイデアを持っているか、良いことが起こるか否か、限定されたツールである鉛筆でドローイングをすると気づかされる。なぜなら、このツールは多々の選択肢を提供することはないからね。これで出来うることは、すぐに試すことができる。エレキギターやドラムなどのもっとシンプルな楽器も同じだ。一度“Pro Tools”へ行ってしまうと、それが致命的に影響して、すべてを可能にしてしまう。有名なジョークで、プロデューサーがスタジオのトークバックボタンを押しながらバンドのメンバーに向かってこう言うんだ。「今のは最悪だったな。よしOKだ」なぜなら、“Pro Tools”を使えばどんな音でも加工することができてしまうから。だけど私はそういうやり方で仕事をするのは好きじゃない。

http://www.timeout.jp/ja/travel/feature/138