まあ、どうでもいい話だ

自分はディープパウダージャンキーだとしよう.
いかれたフリースキーヤーだ.


そこに素晴らしいパウダーを身にまとったしびれるようなラインの斜面があるとする.
その頂まであがらないとそのラインを頂くことができない.
なにも上る手段がなければ自分の足でハイクアップするしかない.
素晴らしい斜面と素晴らしいパウダーが共存する確率は非常に低い.
それは気候、気圧配置、太陽、時間、いろんなものの微妙なバランスの上に乗っかっているから.
しかもその頂まで上がることができるスキルを持つ者も限られたごくわずかな者たちだけだ.
さらにそのような斜面を踊るように滑り降りることができる者はさらにごくわずかになる.
そのタイミングにその場に居合わすことができて、しかもその頂まで上がることができて、舞うように滑り降りる者は、神に選ばれし者であったわけだ.
これがオールドスクールなフリースキーの世界の話である.


今や時代は変わった.
スーパードゥーパー・パウダーガンなファットスキーが市販で手に入る.
金さえ積めばヘリやモービルで一気に頂上だ.
当然、いまでも、そこらのガキの手を出せる領域ではない.
それでもトップレベルの滑り手達は、過去に例を見ないほどの密度、濃度で斜面を、パウダーを滑る機会を得ることになった.
そして、すさまじいスピードでレベルを上げつつある.そう、臨界点を超えたのだ.
これがニュースクールという言葉もはずかしいほどの、リアルなフリースキーの世界の話である.


テクノロジーというものはそういうものだとおもう.
同じようなことが、いろんな世界で起きているんだとおもうよ.


でもね、たとえヘリをつかおうが自分の足を使おうが、
細長いダウンヒルスキーをつかおうがぶっといファットスキーをつかおうが
そんなことはどうでもいいんだよね.


どんだけ楽しめるかってことだよ.